レース中に応援していた選手が突然、落車してしまい、的中していたはずの車券が紙くずになってしまった経験は競輪をやっていれば誰にでもある経験でしょう。今回は、そんな競輪の落車とは何か、その危険性、落車が起こりやすい条件などについて説明します。
落車ってなに?
落車とは、自転車競技において選手が転倒することです。特に競輪やオートレースでは公式用語となっています。落車は、大きな事故や怪我につながることもあり大変危険です。
落車は、選手生命を絶ってしまうほど危険です
落車すると、その衝撃によって鎖骨を骨折する選手が多いです。「競輪選手は鎖骨骨折を乗り越えてこそ一人前」と言われるほどに、落車と怪我は昔から競輪界で多く起きています。昨今は、時代の変化で保護具などが改良されたこともあり、大怪我をする事故は減りましたが、それでもレースをする限りは落車は避けようがありません。
また、落車事故と呼ばれる大きな事故が起こることも少なくありません。2012年の初夏に起きた坂本選手の死亡事故が一例です。この時、坂本選手はゴール直前で落車した選手を避けようとして、写真判定用のミラーボックスに時速70km以上のスピードで衝突してしまいました。その後、すぐにAEDを使って病院へと行きましたが、還らぬ人となってしまったのです。このように、競輪の落車は、選手生命を絶ってしまうほど非常に危険です。こんな危険をはらんでいる落車が起きてしまう条件について考えていきましょう。
落車が起こりやすい条件
大事故にもつながる落車が起こりやすい条件をここでは説明します。今回の内容は、落車が起こりやすい条件 – 競輪雑考から引用させて頂きました。考察についても非常に分かりやすく書かれているので、興味がある方は読んでみてください。下記にて、落車が起こりやすい条件(6年分のデータ結果から)を箇条書きしています。
【落車が起こりやすい条件について】*落車は、全データを平均して6.48%の確率で起こる
①雨など悪天候の場合に落車率は、7.12%となる
②S級(9.48%)はA級(5.62%)と比較して1.69倍も落車率が高い
③G2以上のレースでは普通開催の2倍以上の頻度で落車している
以上のように、選手のレベルやレースのグレードが上がると激しいレース展開が多くなり落車も多くなることが分かります。選手たちも1着を取るために必死になった結果、落車が起きてしまうことがデータからも分かります。そんな風に一生懸命にレースをしている選手たちを私たちも応援していきたいですね。
落車したら賞金はもらえないのか?
正確に言えば、落車するとその選手はレースを棄権することとなり、それを、落車棄権と呼びます。落車棄権した場合には、そのレースでの着順は最後となります。そして、落車によりゴールまで走りきれなかったことから、その賞金は20%が減り、80%の金額しかもらえません。また、余談ではありますが、レース中に妨害行為や危険行為等の違反行為をした選手については、失格となり、この場合には賞金は支払われません。
競輪では、落車した時に、最終着順の80%の賞金がもらえるが、失格の場合には賞金はもらえません。
競艇のフライングと競輪の落車の違い
競艇選手がフライングした場合には、投票した金額が返還されます。初心者のうちは、このことを知らずに舟券を破ってしまった苦い経験がある人もいるのではないでしょうか。余談になりますが、私の友人もそれで500円分の舟券を破ってしまいました。当然のことですが、投票券を破ってしまったら返還はしてもらえません。
くれぐれも投票券は確定まで大切に持っておきましょう。
ここで、競輪の落車はなぜ返還されないのか疑問を持った人もいるかと思います。先ほどの説明では、競輪の落車で賞金はもらえるため、車券はもちろん返還されません。なぜなら、選手たちの賞金も元を辿れば車券からの売上で支払われているからです。こうなると競艇のフライング返還を知っている人からすれば競輪の落車で返還がないことに疑問を感じる人がいてもおかしくはないでしょう。
しかし、競艇のフライングと競輪の落車はある基準で明確に分かれています。それは、レース前かレース後に起きた事象なのかということです。競艇のフライングはレーススタート不成立とされ、その選手は欠場(レースに不参加)と判定されます。競輪の落車は、レースがスタート後に発生するものであり、競艇で言えばスタート後の転覆と同じ扱いになります。つまり、競艇のフライングと競輪の落車は同じ扱いになりません。また、返還には的中券の配当が下がるというデメリットもあるため、競輪選手の皆さんには安全にレースをしてもらいたいですね。