最近、ネット投票の普及によって、高額配当における裁判がニュースでもよく取り上げられるようになりました。
今回は、そんな公営ギャンブルの1つである競輪にかかる税金の仕組みを説明します。
公営ギャンブルの払戻金に定められた法律
競輪の払戻金に税金がかかるかどうかの前に、一般的に公営ギャンブルの払戻金における国の法律を確認しておきましょう。
所得税法基本通達34-1(2)
以下の条文は、国税庁HPの所得税法基本通達34-1(2)より引用しています。
34-1 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
3 競輪の車券の払戻金等に係る所得についても、競馬の馬券の払戻金に準じて取り扱うことに留意する。
上記では、システム化して競馬や競輪から収益を得た場合には雑所得として扱うと明記されています。
また、競輪についても競馬と同様の税金措置をとるということも書かれています。
払戻金の支払を受けた方へ(リーフレット)
さらに、国税庁からは、払戻金の支払いを受けた方への正式なお知らせが出されており、その内容を要約すると以下となります。
・競馬、競輪、オートレース、ボートレースの(払戻金が発生した年間受取額ー年間投票額ー50万円)がプラスであった場合には、その金額に1/2倍した金額を確定申告すること。
例えば、2019年1月〜12月までに得られた払戻金の合計とそれに必要になった投票額から50万円を引いた金額がプラスであれば、税金がかかるということになります。つまり、的中する時にも控除率で控除され、勝った場合にのみ税金を納付するという購入者に非常に不利な法律となってしまっています。しかし、高額払戻に対する裁判の判例が(ハズレ分を)経費として認めるか認めないかでブレている現状から考えると、明確に断言はできません。
競輪の払戻金に、税金はかかるのか?
結論から言えば、YESです。先ほどの国税庁からのお知らせによれば、年間で50万以上稼いでいる場合には、一時所得となり税金を納める義務があります。本来は、給料以外で稼いだお金は、雑所得(公的年金・印税・講演料・原稿料)になることが多いので、意外に感じる人が多いのではないでしょうか。ちなみに生命保険や懸賞なども一時所得に含まれます。しかし、宝くじの当選金は一時所得に含まれず、所得税もかかりません。そのため、当選金はそのままの金額で所持することができます。
競輪の払戻金にかかる税率と課税対象額
競輪の払戻金にかかる税率は、その人の所得によってさまざまです。大抵は、課税対象額の10%~30%を支払うことが多いです。今回の競輪での払戻金のうち課税対象額の算出方法を2つほど例をあげて説明していきましょう。基本的には、国税庁のリーフレットに記載されている通りに(払戻金ー投票額ー50万)×1/2で算出します。
例①:5万円の投票をして、払戻金が80万の場合
(80ー5ー50)×1/2=12.5万円が課税対象額
例②:10万円の投票をして、払戻金が60万円の場合
(60ー10ー50)×1/2=0万円のため非課税
このように、60万円を稼いでいても10万円を投票している場合には、税金がかかりません。つまり、実際には払戻金を得るためにいくら使ったのかが重要となることを覚えておきましょう。
年間トータルでマイナスなのに税金がかかる!?
競輪で年間トータルでマイナスだから税金なんて自分には関係ないと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、そのように考えている人は今すぐに考えを改めましょう。そうしなければ、知らない内に脱税行為に手を染めてしまう可能性があることに注意しましょう。
最初に述べたように、国税庁では競輪による一時所得の算出に「ハズレ車券の投票金額」は含まれません。つまり、払戻金を受け取った車券の購入金額のみ経費と定められていることになります。
先ほどの例①で説明すれば、いくら年間でハズレ車券を購入していても、5万円の投票をして、80万円を払い戻していたら、納税の義務があるということです。
その他のギャンブルの税金の仕組み
下表にて、その他のギャンブルの利益について税金がかかるかどうかをまとめてみました。こうしてまとめてみると、宝くじ関係意外は基本的に確定申告が必要なことが分かりますね。今回で税金の仕組みをきちんと理解して、間違いのないギャンブルライフを送りましょう!
項目 | 課税/非課税 | 確定申告 | 経費 | 証明(書) |
競馬・競輪・競艇・オートレース | 課税 | ○ | 当選した投票券 | 当選証明書 |
パチンコ・パチスロ | 課税 | △ | 明確にできない | 不明 |
オンラインカジノ | 課税 | ○ | ポイント購入代 | 投票履歴 |
海外カジノ | 課税 | ○ | チップ購入代 | 両替証明書 |
麻雀・その他 | 課税 | ○ | 場代、ゲーム代 | なし |
宝くじ・toto・ロト・スクラッチ | 非課税 | × | なし | 当選証明書 |
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